イギリスデザート「イートン・メス」

イギリスの定番デザート「イートン・メス」。日本ではあまり馴染みがないお菓子なのではじめて聞く方もいらっしゃるかと思いますが、イギリスの初夏に欠かせないデザートのひとつです。

とにかく簡単にできて、味は最高に美味しい!サクサクのメレンゲ、とろりとした生クリームに、甘酸っぱいイチゴ。

この3つがあればいつでも作れるので、日々のおやつはもちろん、食後のデザートやティータイムにもおすすめです。

紅茶に合う世界のお菓子レシピ第13回目は、見た目も可愛いイギリスの「イートン・メス」をご紹介します。

 

イートン・メスってどんなお菓子?

イートン・メスは、イチゴ・メレンゲ・生クリームを混ぜて作るイギリスの伝統的なデザートです。

このお菓子の一番の特徴は、ぐちゃぐちゃに混ぜて食べること。「メス」は、「めちゃくちゃ・混乱」などの意味で、まさに名前の通りのお菓子です。

せっかくきれいに盛り付けたのに、ぐちゃぐちゃにして食べるのはお行儀が悪い気もしますが、それぞれの食感や味が上手く混ざり合い、口の中で至福の味わいが楽しめます。

一度食べたら「確かにこれは、混ぜて食べるのが正解!」と、きっと誰もがそう思うでしょう。

イートン・メスは色々なフルーツを使って作られることもありますが、やはり定番はイチゴです。

イギリスではイチゴは初夏に旬を迎えます。甘く爽やかな酸味のイチゴを収穫して、イギリスの人々は家族や友人と共にイートン・メスを楽しみます。

 

イートン・メスが生まれた意外な場所

イートン・メスの名前にも使われているイートンとは、イギリスの名門校「イートン校」からつけられています。

学校でデザート?と思うかも知れませんが、学生たちのクリケットの試合の合間に食べられていたのが始まりだそう。

このイートン・メスは、あるハプニングから生まれたお菓子とも言われています。諸説ありますが、お菓子を入れていたかばんを生徒が落とし、開けてぐちゃぐちゃになったお菓子を食べてみたら美味しかったとか。

遠足のときに、犬がやってきてメレンゲ菓子を踏みつぶしてしまい、そこから着想を得てできたとか、誕生エピソードはさまざま。

どれが真実かは分かりませんが、ぐちゃぐちゃに混ぜて食べるなんて、学生らしい面白い発想ですよね。

 

メレンゲが主役のお菓子:イートン・メスとパブロバの違い

イートン・メス以外にもメレンゲを使ったお菓子はたくさんありますが、その中でも特に似ているのが「パブロバ」と呼ばれるお菓子です。

材料はどちらも、メレンゲ・生クリーム・イチゴが使われていて、味はほぼ同じ。では、何が違うのでしょうか?

イートン・メスは、先程お話ししたように、すべてをぐちゃぐちゃに混ぜて食べるイギリスのデザートです。

一方パブロバは、タルト位の大きさに焼いたメレンゲを土台にして、その上に生クリームやフルーツをトッピングしたオーストラリアのお菓子です。

見た目も華やかで、どちらかというとケーキの様なイメージですね。パーティーやお祝いの時にもよく作られるようです。

ちなみにパブロバの歴史は古く、20世紀初めごろ世界で活躍していたバレリーナ「アンナ・パブロバ」が好んで食べていたお菓子といわれています。

どちらも簡単に作れて豪華なデザートなので、用途や気分に合わせて作り分けてもいいですね。

 

初夏のイギリス定番デザート:イートン・メスレシピ

基本の食材は3つ。メレンゲを焼いて、生クリームを泡立てれば、あとはイチゴと組み合わせて盛り付けるだけで完成です。

甘いお菓子が多いイメージのイギリスですが、イートン・メスは爽やかで軽やかな口当たりのデザートです。

もちろんイチゴ以外のフルーツでも美味しいので、ぜひ作ってみてくださいね。

 

材料

[3~4人分]
<メレンゲ>

  • 卵白/40g(Mサイズ約一個分)
  • グラニュー糖/40g
  • 粉糖/40g

<シャンティー>

  • 生クリーム(乳脂肪分35%以上がおすすめ)/200g
  • グラニュー糖/20g
  • キルシュ(あれば)/少々

 

  • イチゴ/1パック
  • ミントなど

作り方

<メレンゲを作る>

  1. きれいなボウルに卵白を割り入れ、コシをほぐす。ハンドミキサーで泡立てながらグラニュー糖の1/3量を加える。ふんわりとしたボリュームとコシがでてきたら、残りのグラニュー糖の1/2量を加える。同じようにメレンゲにボリュームとコシがでてきたら残りのグラニュー糖を加えて、ツヤのあるしっかりしたメレンゲを作る。(グラニュー糖は1/3量を3回加えるという意味)
  2. 粉糖をふるいながら加え、ゴムベラで丁寧に混ぜ合わせる。メレンゲに硬さとツヤが出たらできあがり。絞り袋に入れて、オーブンペーパーを敷いた天板の上に、好みのかたちに絞る。
  3. 130℃に予熱したオーブンで1時間ほど焼成する。持ち上げた時にメレンゲが軽く、底もはがれるようなら焼き上がり。オーブンの電源を切って、そのまま放置し、完全に冷ます。→オーブンから取り出し、乾燥材をいれた容器に保存する。(湿気がなければ1ヶ月ほど保存可能)

<生クリームを泡立てる>

  1. きれいなボウルに生クリーム、グラニュー糖、キルシュ(あれば)を入れ、ハンドミキサーで8分立てにする。→冷蔵庫で冷やしておく。

<盛り付ける>

  1. デザートグラスにメレンゲをいれ、上に生クリームをのせる。カットしたイチゴをのせて、これを2回くりかえす。

 

POINT

  • メレンゲの絞り方はお好みで。今回は星口金でシェル形と星形にしぼりました。またスプーンでメレンゲをすくって、オーブンシートにのせて焼いても。
  • 盛り付けに決まりはないので、好きに組み合わせてOKです。器もデザートグラスの他、お皿に盛り付けても素敵です。
  • イチゴソース、バニラアイスクリーム、ナッツなどをトッピングして、アレンジを楽しむのもおすすめです。

 

簡単なのに本格的!イートン・メスはイギリスの味♪

生徒たちの楽しいハプニングから生まれた、イギリスの大人気デザート「イートン・メス」。お菓子作りが苦手な方でも、とびきり美味しくできあがります。

メレンゲは市販のものを使えば、より簡単にいつでも作れますね。小さなお子さまと一緒に作ったり、家族の団らんやパーティーのおもてなしデザートにもおすすめです。

食べる時は躊躇せず、ぐちゃぐちゃに混ぜて召し上がってくださいね。