イギリスの春を呼ぶお菓子「イースタービスケット」

紅茶に合うお菓子は世界中にあります。その中でもイギリス、フランス、ドイツ、北欧で親しまれている、とびきり美味しいスイーツをご紹介します。

第11回目は、イギリスの有名な春のお祭りイースターで食べられるお菓子「イースタービスケット」です。

甘酸っぱいカレンツという小さなレーズンやスパイスを効かせた、サクサクのビスケットは、紅茶との相性も抜群!

春のティータイムにぜひ作ってみませんか?

 

イギリスのお祭り“イースター”ってなに?

イースターは日本ではあまり馴染みがありませんが、イギリスの人たちにとってはクリスマスと同様に大切にされている祭日です。

イエス・キリストが十字架にかけられた3日後に復活したことを祝うもので、毎年春分の日の後の満月から数えて最初の日曜日に行われます。2022年は4月17日になりますね。

イースターといえば、たまごとウサギがシンボルですが、これは生命の誕生を意味するたまごや春先にたくさん子どもを生む野ウサギが、復活や再生の象徴とされているためといわれています。

この時期は街中にペイントしたカラフルなたまごやウサギのディスプレイが並び、国中が華やかな雰囲気に包まれます。

 

イースターを祝う色々なイギリス菓子たち

イースターを祝うお菓子は、イースタービスケット以外にもたくさんあります。それぞれの家庭で手作りされているイースター伝統菓子をご紹介します。

 

シムネル・ケーキ

シムネル・ケーキはイギリスで一番有名なイースターの伝統ケーキです。

ドライフルーツをたっぷりいれたバターケーキをマジパンで覆い、その上にたまご状に丸めたマジパンを11個飾るのが特徴です。

この11という数はイエス・キリストの十二使徒のうち、裏切り者のユダを除く十一使徒を意味しています。

マジパン以外にもひよこのおもちゃや、チョコエッグをデコレーションしたり、どっりとした甘く食べごたえのあるケーキです。

このシムネル・ケーキは、イースターの他にもイギリスの母の日にも食べられています。

 

イースター・ネスト・ケーキ

子供たちが喜ぶイースターのお菓子といえば、こちらのイースター・ネスト・ケーキ。

ネストとは鳥の巣という意味で、チョコレートとシリアルで作った鳥の巣にチョコエッグをのせたケーキです。

見た目も可愛く簡単に作れるので、子どもと一緒に作るイースターの定番スイーツとして人気です。

 

キャロットケーキ

ウサギの好物であるニンジンをたっぷり使ったキャロットケーキは、イースターでもよく作られるケーキのひとつです。

ナッツやスパイスをいれた生地を型に入れて焼き、上にクリームチーズのアイシングを塗ります。

イースターでは、その上にマジパンで作ったニンジンやウサギの耳をかたどったホワイトチョコレートなどをデコレーションしたものが多く見られます。

 

イースター・アイシングクッキー

プレゼントにも最適なアイシングクッキー。

イースターでは「うさぎ、にんじん、ひよこ、たまご、ひつじ、十字架」などをモチーフにして作られます。

色々なクッキー型を用意して、ペンタイプのアイシングを使えば手軽にアイシングクッキーが楽しめます。ティータイムのお供にもぴったりですね。

 

ホットクロスバンズ

ホットクロスバンズは、パンの上に十字架の模様がついたほんのりスパイスが効いたドライフルーツ入り菓子パンです。

伝統的にはイエス・キリストが十字架に掛けられた日であるグッドフライデーの朝食に食べられていましたが、今では一年中イギリスのスーパーに並ぶ定番パンとなっているようです。

チョコレート味やキャラメル味などバリエーションも豊富です。

 

イギリス南西部伝統の味イースタービスケットを作ろう:レシピ

イースタービスケットはイギリス南西部で作られてきたイースター伝統菓子です。一枚が手のひらほどの大きさで、生地にはカレンツ(小粒のドライレーズン)とカシアオイルを加えるのが特徴です。

カシアオイルとは、チャイニーズシナモンと呼ばれる木の葉を水蒸気蒸留した精油のことで、シナモンのような香りがするスパイスの一種です。

イギリスの薬局やハーブ店で購入することができますが、日本では入手困難なためシナモンパウダーやミックススパイスで代用しています。

オーブンに入れた生地を途中取り出して、卵白を塗りグラニュー糖をまぶして再度焼くため、表面のシャリッとした食感も楽しいビスケットです。

 

材料

[直径8cm菊型18枚分]

  • 無塩バター/100g
  • グラニュー糖/80g
  • 卵/1個(卵黄と卵白に分けておく)
  • 塩/ひとつまみ
  • 薄力粉/200g
  • シナモンパウダーもしくはミックススパイス/小さじ1
  • カレンツ/50g
  • その他ドライフルーツ/30g
  • 牛乳/大さじ2

 

作り方

▶下準備

  • バターは常温に戻しておく
  • 薄力粉はふるっておく
  • ドライフルーツはカレンツくらいの大きさに刻んでおく
  1. ボウルに常温に戻したバターを入れ、なめらかにする。グラニュー糖を加え、ハンドミキサーで白っぽくなるまで泡立てる。卵黄を加えさらに混ぜる。塩をひとつまみ加える。
  2. シナモンパウダー、カレンツ、ドライフツールを加え、ゴムベラに替えて全体に混ぜる。薄力粉をふるいながら加え、さっくりと全体を混ぜ合わせる。粉気が少なくなってきたら、牛乳を加えて生地をひとまとめにする。
  3. 打ち粉(分量外)をした台にのせて、めん棒で5mm程の厚さにのばす。直径8㎝の菊型で抜き、クッキングシートを敷いた天板に並べる。
  4. 160℃に予熱したオーブンで10分ほど焼く。途中オーブンから取り出し、溶きほぐした卵白を表面に塗り、グラニュー糖(分量外)を散らす。再度オーブンに戻し、8〜10分程焼成する。
  5. うっすらと焼き色がついたら出来上がり。

 

POINT

  • ミックススパイスは、イギリスのお菓子によく使われるスパイスです。コリアンダー、オールスパイス、シナモン、ジンジャー、ナツメグを混ぜ合わせて自分で作ることもできます。
  • ドライフルーツを入れない場合は、カレンツ80gで作ってください。
  • 無塩バターは発酵バターを使うとより一層風味が増して美味しく作れます。
  • 今回使用したドライフルーツは、グリーンレーズン、クランベリー、オレンジピールのミックスです。お好みのものをご用意ください。

 

スパイスが効いた美味しいビスケットで春を祝おう

キリスト教圏では一年で一番大切な日であるイースター。日本ではまだ馴染みがうすいですが、イギリス伝統菓子によって知るきっかけにもなりますね。

イースタービスケットは菊型が伝統的ですが、イースターのシンボルであるたまご型やウサギ型などで作っても楽しいですね!

バターのコクとスパイスが効いたビスケット生地にカレンツの酸味が加わり、止まらなくなる美味しさです。紅茶と共にぜひイギリスのイースターを楽しんでください。